勢命の法形
躰道で呼吸法を訓練する法形である「命」の法形の一つです。
割と難しい動きの多い躰道ですが、呼吸法という動きそのものとはまた違う事を学べる型となっています。
勢命の法形の手順
太字が動作。細字が呼吸の方法を示してます。
前半(最初〜気合まで)
①閉足立ち→正座→礼→左足立てて左え字立ち→右手を水平に挙げる。
・閉足立ちになる時に息を吸って止める→正座で普通の呼吸
・息を吸い、止めて丹田に気を溜めて→礼→吐きながら起き上がる→吐ききって止める(横隔膜を上げて下腹部に力を入れる)→え字立ち・手を挙げる(無気有体)
②左手を右手の下に添える様に挙げて、両手を正中に伸ばす→両手を引く
・吐いた状態(無気有体)のまま手を伸ばす→ゆっくり吸いながら手を引く
③右旋回して後ろを向く→手を広げて斜め上45度方向に、両手を突き出す(右手が下)
・吸いきって止めて(有気無体)後ろを向く→止めたまま両手を出す。
④両手を真上まで持ち上げる→真横に開く
・有気無体の状態のまま手を上げて→吐きながら開く
⑤左旋回しながら後ろに下段構え→引き拳で閉足立ち
・短吸短吐で下段、吸いながら閉足立ち、普通の呼吸
⑥右着眼→右手を伸ばしながら、右足を右に出す→左足を後ろから差し込んで竜捻立ち→右手を引きながら左旋回→足は左下段で右手が上45度、左手が下45度に手を開いて伸ばす→上下手を入れ替える→両肘を曲げ左手が上で重ねる
・息を吸いながら着眼→右に進み、吸って止めた状態で上下手を入れ替える所まで行う(有気無体)→息を吐きながら手を重ねる→息を吸って止める。
⑦両手を伸ばし上体を45度まで少し倒す→両手を床につけ上体を倒し、体を水平にする→45度に戻す→一歩下がって右下段構え
・吸って止めた息を中丹→下丹→中丹→下丹→中丹と移し、最後下段を構える時に吐く。
(ちなみに中丹→下丹へと移すことを膻気丹運、下丹→中丹へと移すことを丹気膻運といいます。)
「え字立ち」と体を水平にした時→体気中丹(吸った息を”中丹”または”膻中”と呼ばれる胸にキープ)
上体が45度の時→体気下丹(吸った息を”下丹”または”丹田”と呼ばれる下腹部にキープ)
⑧左着眼→正面を向きながら右足を左足に揃えながら引き拳で閉塞立ち
・ゆっくり息を吸いながら閉塞立ち→普通の呼吸。
⑨ ⑥〜⑧の左右反対を行う。
⑩右足を前に出しながら左旋回し、後ろ向きに左下段構え
・短吸長吐で下段
⑪左手を引き、右足を一歩進め右え字立ちになると同時に、右手を斜め上、左手を斜め下へ掌底で突き出す→両手を引きつつ左足を一歩進め、閉足立ちになると同時に、右手は拳、貫手で前に突き出し閉足立ち。(右手が下)
・掌底時、吸った息を気合いとともに七分ほど吐き出す→閉塞立ちで残った残気の二分を一気に吐き出す。(球気集包)
後半
①右拳を開きながら両手を真上に上げる→真横に開く
・息を吸いながら手を上げる→吐きながら開く→普通の呼吸
②右足を前に出し左旋回しながら後ろに下段構え
・長吸短吐
③両肘を曲げ左手が上で重ねる→肩幅で床につきながら上体を倒し、肘を曲げながら左膝を床につけたまま右足を斜め45度挙げる。両手指は窄める→左下段構えに戻る
・息を吸って止める→止めた息を上丹部(後頭部)へ移す(大気上丹)→息を吐きながら下段→普通の呼吸
④左手を引きながら右足を一歩進め、右え字立ちになると同時に上体を少し前倒(約15~
20度)させ、右拳、左手貫手で突き出す→引き戻す様に下腹部と上体を引く→下腹部を前に戻してえ字立ち。
・息を吸う→前に出ながら気合→気を背中に抜くように引く(球気背抜)
⑤一歩前に出て左下段構え。
・長吸長吐
⑥正座
・左手引く時に吸う→両手を下ろす時に吐く。
勢命の法形の概要
勢命の法形は、躰道における呼吸法を中心とした修練法であり、技の威力と身体機能を高めるための法形です。
呼気と吸気を意識的に調節しながら動きを継続することで、身体の内側から力を生み出し、極め技に最大限の効果を発揮できるようになります。
この法形は「呼吸整体法」とも呼ばれ、心肺機能の向上や整腸作用を促すとともに、集中力の向上やストレスの軽減といった精神面への効果も期待できます。
また、呼吸と動作を連動させることで、内臓を含めた全身を無理なく鍛え、体幹を安定させることができます。
勢命の法形を通じて、身体の内側と外側の調和を図り、しなやかさと力強さを兼ね備えた躰道の動きを養います。
また、技術向上だけでなく、健康づくりにもつながります。
まとめ
命の法形である「勢命の法形」でした。
躰道を構成する三つの根源要素(体気・動功・制御)の一つである体気を学ぶ良い機会になると思います。
派手な動きは特に無い為、体力に自身のない人でも出来るかもしれませんので是非挑戦してみて下さい。
